■フルスクラッチへの道■
そもそも何でオブイェークト279をフルスクラッチすることになったのか……
思えば色々あったので備忘録も兼ねてまとめてみた。
<2003年>
・クビンカ戦車博物館でオブイェークト279の実車を見る。
・一緒にこのツアーに参加したT宮先生がこの戦車の実測資料を作成中と言う事を知り、1/144スケール(当時WTMで盛り上がっていた)で作る為に資料を借りる。この時点では資料はまだまだ途中だったが1/144を作るには不都合のないレベルだった。
<2005年>
・1/144のオブイェークト279のガレージキット見本をワンフェスで展示。
<2006年>
・1/144のオブイェークト279のガレージキット完成。
今見るとプロポーションとかおかしいわー。
<2007年>
・T宮先生の資料をまとめた「オブイェークト279図面集」が発行されるとの予告がグランドパワー誌に!
この図面集が発売されれば、どこかから1/35のガレージキットが出るだろうよと楽しみに待つ。
<2009年>
・2年経っても「オブイェークト279図面集」が出ない上に発行予告も何事もなかったかのように消えてしまったのでT宮先生に尋ねたところ、どうも有耶無耶になっているようでT宮先生もお困りの模様。
・1/144ガレージキットの改訂版を製作。
・図面集が出ないなら自分で作るかーと、1/35のフルスクラッチを開始。→最低でも年内に完成させるつもりがグダグダ。
<2011年>
・この辺りから試作車や計画車両のキット化が増え始めたので「オブイェークト279もそのうちキット化されるだろうなー」と予想。
・1/144ガレージキットの新改訂版を製作。
・1/35のフルスクラッチは迂闊に新資料を見てしまい、作り直したりさぼったりで一進一退。
<2013年>
・予想通りオブイェークト279がキット化されるが、3社バッティングとは予想外すぎる。
・フルスクラッチはまだ完成してませんが? ←今ここ。
では順番に見てゆこう。
1/35 オブイェークト279・その1〜その8(2009年分)
|
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」■(2009/08/13)
ワンフェスも終わったある夏の日、同志スターリンに呼びつけられて、
「完璧なオブイェークト279の図面を何年も前から貸与されているのに、どうして1/35で作らないのか分からない……」
と呟かれたので、今年のAFVの会までに完成させるしかないよ(その前に脳の病院に行くべき)。

現在こんな有様。上に乗っている1/144と比べると巨大。
例のグランドパワー別冊に収録される(予定の)T先生渾身の実測図面がひょんなことからレンドリースされているので、その通りに作るだけという、解法は分かってるけど実践手順がめんどくさいパズルを組み立てるようなもの。車体前部はご丁寧に何カ所か断面図付きなので、その通りにプラ板を切り出して組み立てるだけでこの通り。

そういえば、一般に知られているオブイェークト279のデータに罠があることに先月気がついたよ。
大元のクビンカの説明文がそうなってるからなんだけど、いや一応間違っては……いない……んだけど、……それでいいのか? ロシアの人!
ということで、あの寸法の通りに作ると変なプロポーションになるのだけど、自分は今までT先生の図面を参考にしてたので全く影響は無し。「うっかり真に受けた結果がこれだよ!」なことにならず良かった。
みんなも気をつけて欲しい。ロシアには罠がいっぱいなのだ。
続きはCMの後で。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その2■(2009/08/26)
「続きはCMの後で」という前回の引きの通り、コミックマーケットも次回申し込みも終わったので更新。
といっても、前回更新の後はコミケや帰省やイラスト仕事でほとんど進んでねー。

機関室天板の僅かな曲面を見て見ぬ振りをしようかと思ったけど、1/35では細部の繋がりが微妙に破綻するのでそうもいかんな。まあ先は長いので正確に作るのを優先するよ! とりあえずパテ面を滑らかにして何となく達成感。やりとげた男の顔で寝る。
作業中、奥様に「そういうふうに一から戦車を作るのは初めて見る」と言われる。
そういえばフルスクラッチは過去に何作かやったけどここ何年かはしてないなあ(1/144戦車やのこたんやフィギュア系は除く)と記憶をたどると、はるか昔にT-72を作った時は今みたいに造形素材も予算もあまり無く、砲塔はバルサ削り出しにタミヤパテ塗りだったから作業中に爪を立てるとすぐ凹んだなとか、当時は冷戦中で良い資料も少なかったなとか、色々と感慨深くなったので寝る。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その3■(2009/09/15)
ここのところイラストの締め切りが立て続けの(注:誇張)売れっ子作家状態(注:妄想)だったのであまり進んでない(注:本当)。

車体後半の基本形状がようやく見えてきたところだけど、気になる箇所もあるのでまだ調整が必要だ。吸気グリルのところは作り直した方が良いかもしれないけど、とりあえず先へ進もう。
しかし、機関室天板なんて、ふつーの平板でいいのに何でわずかに湾曲板にするかなあと、当時の設計者に問いたい。問い詰め(懐かしいが以下略)
これで車体はきれいにできたみたいだろ?、でも裏側がまだ筒抜けなんだぜ。砲塔? そんなものあったっけ?
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その4■(2009/09/27)
車体裏ー(「車体万歳」の意)。
上面に比べればまだ素直な形状なので、骨組みに合わせてパテ盛りしたりプラ板貼ったりでキリキリ形にした。
底面中央に走る竜骨状の部分は、何で途中に段差とか面取り部分とかあんねん。単純な箱型でいいじゃん設計者よ! しかしこんなところまで計測済みとは。クビンカに何度も計測しに行ったのは伊達じゃないですね、先生。
※写真撮るのが面倒なので、各自心眼センサーフルオープンで。
続けて、転輪と起動輪を取り付ける足回り基部を作るつもりだったけど、特にサスアーム及びその取り付け部が予想の3.5倍くらい複雑な形状でうっかり挫折しそうになったので予定変更、次は砲身を作る。
つづきはまたこんど。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その5■(2009/10/11)
砲身は大抵僅かなテーパーがあるので、何かのキットの砲身を流用するのがお約束。今回の気になる生贄だが……コンバットジョー、お前だ!
ということで、手持ちのキットからISU-152とヤークトティーガー、他1名に決定。
寸法が近いのはもちろん、どれも金属砲身や別砲身があるので元キットもムダにならないのも重要だ。もったいないからな!(積みキットになってる時点でもったいないけどな!)
3本の砲身を切り貼りしただけでかなり近い形状になり、改造部分は最小で済んだ。ナイス在庫。ただし、防盾部分とマズルブレーキは完全に自作となる。

マズルブレーキ部分は仮。ここも地味にめんどくさい断面形状なので、ちゃんと作るとなると手間取りそうだ。
そういえば、砲身の作成中、作業机上の1/144キットの完成見本の砲身が、今作ってるモノに比べて妙に長く見えるので図面と照らし合わせるとやはり長かった。ただしキットの原型は図面通り(※マズルブレーキだけはデフォルメして少し大きい)。
見本作成の時、パーティングライン処理の省力化と夏場の変形防止とで、砲身をプラ棒で作り直したんだけど、素材を長めに切リ出して「少し長い方がカッコよかろう」とそのまま組み立てた気がするが、少しどころかかなり長くて吹いた。適当すぎるぜ過去の俺。
でもまあキット自体は間違ってないんだし、いーや。へーき。と、FR時代のあさの風に締め。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その6■(2009/11/19)
かなり更新してなかったので、脳内同志ベリヤ(だから誰だよ)にサボタージュの容疑(中略)シベリア(中略)BK-201(違)、こっそり作ってます! サボタージュじゃありません! 内務省、調べてください!(汎用性の高いテンプレ)
まあ、自分が無職や自由業やヒモだったらとっくに完成してるかもしれんけど、そうじゃないので思うように進まん。かといって慌てて変な物を作るのは愚の骨頂。斎藤隊長が言ってたみたいに「慌てず急いで正確に」だ。死亡フラグかよ。
で、足回りを進める予定だったけど、起動輪支持架台とサスアーム周辺が人類の予想を遥かに超える超磁力めんどくささで、思わず逃避した結果、砲塔が形になってきた。

基本形状が所によりかなり複雑なので、図面をベースにしつつ写真と見比べながらパテを盛っては削りを何度も繰り返して年輪状態。む、こうして画像で見ると気になる箇所もあるなあ……まだ細部工作には入れんか。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その7■(2009/12/13)
こんな忙しい時期に風邪をひいて2、3日行動不能になる俺迂闊。そしてうっかりすると更新ほったらかしで3週間以上経ってて驚いた。
その間にやったこと。
・転輪が付く「両足」を作成。まずは基本型と先端。めんどくさい所は後で。
・車体の凹みも再現。まずは縦方向。水平方向は後で。
・砲塔の形状もさらにいじった。せっかく何枚も写真があるんだし、納得いくまでやれ。細部は後で。
・脳内MAGIの検証で、起動輪支持架の正確な工作のためには、やはり車体裏を一部くりぬく必要があるという結論に。実作業は後で。
いずれにせよ、現在は原稿モードなので模型のことなど知らん(半分嘘)。画像? 後で。
■1/35・フルスクラッチ「オブイェークト279」その8■(2009/12/28)
世界初の「1/35・オブイェークト279」を作ろうというこの企画、年内の完成は無理でした。まあ、正確な縮尺模型を作るのが目的なので年内とかどうでもいい……っつーか9月に完成しなかった時点で当初の目標を達成してないんで、どうにでもなれ〜。
でも2月にはワンフェスがあるので、1月中旬には完成だな。とか言いながら、この週末はかねてからの予定通り久しぶりに乙女達と戯れてたりしてた俺。はっはっはっ、いきなり15Rしかも2回とか物資榛名とかオウガイさん撃破とか、久しぶりだからって張り切り過ぎだぞぅキミ達ぃ。
「彼は何を言っとるぞな?」
「“戦国の、乙女さんたち、アリガトウ”と言うとる!」
良い味出してましたね、森本レオ。
ジューコフの再販をいち早く入手したので作った。嘘。

これよりも「T-10 スターリン」を再販する方が喜ばれるんじゃないのかなあ。

二十数年前に作ったものなのでゴムキャタピラの劣化が激しくて、触るとポキポキ折れる。そして適当過ぎる汚し。全く良い所無し。
それでは世界初めざしてがんばります。来年から。←駄目そうだ
|